米、シリア安定化資金の拠出取りやめ 露イランの影響力強化に懸念も

2018/08/18 08:27

 【ワシントン=加納宏幸】米国務省は17日、シリアの安定化を目的とする2億3千万ドル(約254億円)の拠出を取りやめ、「他の外交上の優先分野」に振り向けると発表した。使途は明確にしなかった。トランプ大統領はかねてシリアの安定を湾岸諸国に担わせる考えを示しており、今回の決定による米国の指導力低下を懸念する意見が米議会から出ている。

 国務省のナウアート報道官は17日発表した声明で、拠出の中止は湾岸諸国などが計約3億ドルを拠出し、シリアの安定化に協力することになったためとしている。声明は、引き続きイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討のため米軍をシリアにとどめるとも強調した。

 シリア安定化のため、サウジアラビアが1億ドル、アラブ首長国連邦(UAE)が5千万ドルの拠出を表明した。同省によると、このほか欧州連合(EU)、オーストラリア、台湾などが資金を拠出するという。

 IS掃討に当たる有志連合の調整を担当するマクガーク米大統領特使は17日の電話記者会見で安定化資金は避難民の帰還や生活インフラ整備に充てられ、長期的な再建資金は、国連が主導するジュネーブでの和平協議でシリア内戦の政治的解決が実現するまで拠出されないと強調した。

 ナウアート氏は声明で「今回の決定は、シリアでの戦略的目標に向けた米国の関与が低下することを意味しない」とした。

 これに対し、上院外交委員会の野党・民主党トップ、メネンデス上院議員は17日、「国際舞台での米国の指導力を放棄するもので、失望した」とする声明を発表した。米国のプレゼンス低下がシリアのアサド政権を支援するロシアやイランの影響力強化につながるとも指摘した。