中国は北朝鮮カード駆使して貿易戦争“休戦”狙う

2018/07/06 21:57

 【北京=藤本欣也】米中両国が貿易戦争に突入した6日、米朝高官協議が再開した。北朝鮮の後見役である中国としては、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を背後から操りながら、安全保障問題で在韓米軍撤退に向けた布石を打つだけでなく、貿易問題でも米国から譲歩を引き出して“休戦”に持ち込む戦略だ。

 トランプ米政権は、北朝鮮問題と米中間の貿易摩擦問題を関連させて政策立案を進めてきている。トランプ大統領自身、「中国と貿易問題を協議するときはいつも北朝鮮のことも考えている」と認めるほどだ。

 中朝両国も「一つの参謀部のもとで緊密に協力」(金氏)しており、北朝鮮の非核化問題と米中貿易問題で対米“共闘”を進めているのは間違いない。

 中国の習近平国家主席は3度にわたる金氏との首脳会談を通じ、北朝鮮側に「安全の保証」と「経済協力」を確約したとみられている。また、中国は国連安全保障理事会の理事国に対し、北朝鮮への制裁緩和を求める声明案をロシアと共同で配布するなど、対北制裁緩和に向けた国際環境の整備にも努めている。

 一方の北朝鮮は見返りとして、米朝協議で(1)米韓合同軍事演習の中止(2)在韓米軍の削減・撤退など、中国の国益にも資する主張を展開してきたもようだ。

 

 シンガポールでの米朝首脳会談以降、「非核化協議が停滞していたのも、北朝鮮による中国への側面支援では」(外交筋)との見方もある。北朝鮮に影響力をもつ中国にとっては、米朝協議が停滞・難航している方が、自らの“北朝鮮カード”を対米貿易交渉でより有効に使えることになる。

 中国は今後、北朝鮮の後ろ盾として、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するプロセスで主導的な役割を果たし、将来の在韓米軍撤退につなげたい考えだ。

 だが現実問題として、米中両国が貿易戦争に突入し習政権は微妙なかじ取りを迫られている。まだまだ経済的・軍事的に米国に及ばない現状では、米国との“全面対決”はあり得ない。

 「米中貿易摩擦の激化に伴い、両国間の緊張が他の領域に拡散する」(中国紙、環球時報)とみられる中、核心的利益である台湾や南シナ海問題への飛び火は避けなければならない。

 その前に、北カードも駆使しながら、いかに貿易戦争を“休戦”に持ち込むか。習氏もまた金氏同様、正念場を迎えている。