米シンクタンク「民主主義防衛財団」のアンソニー・ルッジェーロ上級研究員 「次のステージが正念場」

2018/06/13 07:14

 米朝首脳会談が成功といえるかどうかは、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、非核化に向けた戦略的決定に踏み込むかどうかだと注目していた。だが、両首脳が署名した共同声明は北朝鮮が非核化を約束し、米国が安全の保証を確約するというもので、2005年に北朝鮮が「核放棄」を約束した6カ国協議の共同声明と酷似している。

 交渉の次のステージが正念場となるだろう。北朝鮮は、非核化に向けた具体的で不可逆的な行動を取らなければならない。

 共同声明では、北朝鮮に対する「最大限の圧力政策」について譲歩することは触れられていないことは評価できる。北朝鮮が非核化を実現するまで、トランプ政権はこの政策は維持すべきだ。特に、中国やロシアには対北制裁を履行するようクギをさす必要があり、制裁逃れには罰していくことが求められる。

 首脳会談で忘れてはならないのは、北朝鮮では10万人以上もの国民が残虐な強制収容所に留め置かれているという事実だ。北朝鮮に拘束された後、昏睡状態で帰国し、死去した米国人大学生、オットー・ワームビアさんのケースも記憶に新しい。シンガポールで笑顔をふりまき、「自撮り」に応じようが、残虐な独裁者であることに変わりはない。ミサイル発射実験をやめたとしても、核開発プログラムを停止したという意味ではない。われわれは金氏の実像を冷静に理解する必要がある。(聞き手 上塚真由)