ベネズエラ大統領選、20日投開票 現職マドゥロ氏、野党候補と接戦か 経済再建、具体策示されず

2018/05/15 06:54

 【ロサンゼルス=住井亨介】南米ベネズエラの大統領選が20日に投開票される。独裁傾向を強める反米左派のマドゥロ大統領(55)が優位とみられてきたが、最近の世論調査によっては野党候補の支持率の方が上回っており、選挙の行方は予断を許さない。政治・経済の混乱で疲弊し切った国民の選挙への関心は低いとはいえ、投票率が上がれば50~60%とされる浮動票が勝敗を決する鍵を握りそうだ。

 ■世論調査“拮抗”

 立候補しているのは計5人で、選挙戦はマドゥロ氏と、野党「革新進歩党」の党首を務めるアンリ・ファルコン前ララ州知事(56)との事実上の一騎打ちになっている。

 いくつかの調査会社の世論調査結果は、現職のマドゥロ氏が圧倒的な強さを持つとの事前の見方を覆した。「ダティンコープ」の調査(4月)によると、ファルコン氏が支持率34%でマドゥロ氏の22%を引き離した。

 一方で「メガナリシス」の調査(同月)ではマドゥロ氏15・3%に対してファルコン氏6・2%だった。結果は政府系、野党系など実施主体によって相反する傾向があり、どこまで有権者の投票動向を正確に反映しているかは不透明だ。

 ■元チャベス派

 ファルコン氏は元軍人で、かつてはマドゥロ氏を後継指名したチャベス元大統領を信奉する「チャビスタ」(チャベス派)だったが、2010年にたもとを分かち、福祉政策を重視しつつも市場経済を志向する中道左派に宗旨変えした過去を持つ。マドゥロ氏を「飢餓の候補」と批判し、下落が止まらない自国通貨ボリバルに替えて米ドルで決済することを提唱。当選後には最低賃金を月75ドルとするとしている。

 公正さが望めないとして大統領選不参加を表明している野党連合「民主統一会議(MUD)」の方針に逆らって出馬した経緯もあり、野党勢力からの組織的支援が受けられていない中で、終盤に入って野党有力者や、選挙戦を撤退した候補者からの支持を取り付けたことから勢いを増す可能性もある。

 ■ペトロ不発

 「破綻寸前」とささやかれて久しいベネズエラの経済。輸出収入の多くを石油に頼りながら、外貨不足で設備の更新が滞って原油生産量は低下している。

 13年に発足したマドゥロ政権は価格統制を進めたが物資の輸入ができず、医薬品や食料が不足し、看板政策の配給制度は崩壊状態となった。ハイパーインフレがとどまる気配はなく、野党が多数を占める国会が発表した4月の物価上昇率(インフレ率)は、対前年同月比で1万3779%となった。

 政府と国営ベネズエラ石油(PDVSA)などの対外債務の合計は約1289億2500万ドル(約14兆円)と推定され、返済不可能なレベルになっている。

 外貨獲得の秘策として導入した同国独自の仮想通貨「ペトロ」で「33億ドルを調達した」(マドゥロ氏)とされるが、米国が取引を禁止したため、実際に流通、交換がされているかどうかは不明だ。

 マドゥロ氏、ファルコン氏のどちらが当選したとしても、経済再建の具体策が示されていないことから、国民にとって多難が続くことが予想される。