帰還事業めぐり金正恩氏と許宗萬氏の「責任追及」を 脱北者の女性がICCに捜査要請へ

2018/02/14 08:45

 日本人妻を含む在日朝鮮・韓国人ら9万3千人以上が北朝鮮に渡った「帰還事業」を主導し、人権抑圧を続けているのは国際法上の「人道に対する犯罪」だとして、脱北者の女性が近くオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)を訪れ、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の責任追及に向けて捜査を行うよう要請することが13日、分かった。

 ICCに対しては先月、拉致被害者や拉致の可能性が排除できない「特定失踪者」家族らが、同様に日本人拉致に関して金氏を処罰するよう要請。関係者は「北朝鮮によるさまざまな人権問題を国際社会に伝えることが、拉致解決を迫るプレッシャーになれば」と強調している。

 金氏と許氏の責任追及を求めるのは、帰還事業で1960(昭和35)年に北朝鮮に渡り、2003(平成15)年に脱北した在日朝鮮人2世の川崎栄子さん(74)で、「北朝鮮の人権侵害は言語に絶する。徹底して責任を追及し、実態解明してほしい」と話す。

 

 申立書などによると、北朝鮮は独裁体制による国内の過酷な実態を隠し、豊かな生活を保障するなどと偽り、9万3千人超を渡航させ、朝鮮総連も事業を後押ししたと主張。さらに、帰還者の深刻な人権状況は現在も続いているのに、金氏や許氏は人権侵害の事実を隠蔽(いんぺい)し、長年にわたり「文民への継続した攻撃」を行っているとしている。

 朝鮮総連は取材に応じなかった。

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 北朝鮮帰還事業

 在日朝鮮・韓国人と、日本人配偶者ら家族の北朝鮮への集団的移住・定住を呼びかけた組織的活動。昭和34年から59年まで断続的に行われた。北朝鮮側は自国を「地上の楽園」と呼び、朝鮮総連は「学校も医療もただ」と宣伝。日本政府も協力し、約7千人の日本国籍者を含む9万3千人以上が渡航したとされる。実際は最下層の労働力や監視対象と位置づけられ、非人道的な処遇に絶望して脱出する帰還者が続出。日本政府は元帰還者の脱北者を「定住外国人」として受け入れている。