金与正氏「昨日までを過去のことに」 安倍首相、金永南氏と「かなり長く」会話 五輪開催地の知事明かす

2018/02/13 07:30

 【平昌=時吉達也】11日に北朝鮮に帰国した金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓中、南北関係について「昨日までを過去のことにしましょう」と述べ、早急な関係改善を訴えていたことが分かった。平昌五輪が開催されている江原道(カンウォンド)の知事で、政府外の「唯一の南北間チャンネル」を誇る崔文洵(チェ・ムンスン)氏が産経新聞の取材に応じ、明らかにした。

 崔氏は、北朝鮮の平昌五輪参加をめぐるキーパーソンだったとされ、訪韓した北朝鮮高官代表団の複数のイベントに同席した。五輪会場がある江陵(カンヌン)での10日の晩餐会の席で、金与正氏は同じテーブルだった崔氏らに対し「昨日を昔のように」と述べて早期の関係改善を促したといい、「韓国では耳慣れない言い回しで、印象に残った」と振り返った。

 与正氏の印象について崔氏は「冷静沈着で、外交的によく訓練されているなと感じた」と表現。冷淡な表情が注目された点については「感情を簡単に表に出さないようだ」と述べるにとどめた。

 また、韓国の文在寅大統領が9日、各国首脳らを招いたレセプションでは、安倍晋三首相が北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長に歩み寄って握手を求め、「かなり長く」会話をしていたと言及した。「すぐに退席したペンス米副大統領とは対照的で、安倍首相は度量が大きいと感じた」と述べた。

 

 崔氏は北朝鮮が五輪参加の意向を表明する前の昨年12月以降、北の体育委員会幹部と2度の会談を実施した。その際「平昌酒と、北朝鮮側が持ってきた大同江(テドンガン)ビールを混ぜ、『爆弾酒』を作って乾杯した」と関係構築の内幕を明かした。

 年内には平壌と平昌で計3度開かれるマラソンやサッカーの大会で、南北の選手交流を行うことで合意しており、「過去のさまざまな南北間のチャンネルがすでに切れてしまった。相手に会おう、と言って会えるのは現在、韓国側で唯一私だけになってしまった」と話す。

 南北の急速な接近については「日米など周辺国への説明が不足しており、速度についても見直しが必要だ」と強調するとともに、「外交や軍事問題と関わらないスポーツ、文化面の交流を重ねつつ、時間をかけて調整を図るべきだ」と訴えた。