ロケット砲1万発、サリンやVX、電磁パルス…手段選ばぬ北の武器

2017/10/12 08:00

 「米朝間に戦争が現実に起きる可能性がある」

 英国のシンクタンク、王立防衛安全保障研究所は9月下旬に発表した報告書でこう警鐘を鳴らした。戦争となれば、米側の局地攻撃では終わらず「核兵器が使われなくとも犠牲者が数十万人に上る」と警告した。

 米大の北朝鮮分析サイトは今月初め、北朝鮮が東京とソウルを核攻撃すれば、約210万人が死亡するとの推計も公表している。

 北朝鮮が戦端を開く場合、まず日本や韓国の米軍基地を攻撃し、朝鮮半島に援軍が来るのを断とうとする-との見方で欧米や日韓の専門家は一致している。

 主力となるのが、ノドン(射程300~1300キロ)やスカッド(同50~1千キロ)系列の弾道ミサイルだ。これまでの試射で一定の命中精度も実証されている。射程2千キロとされる中距離弾道ミサイル「北極星2」も加わったことで、沖縄も攻撃圏内に入った。

 脅威はミサイルだけではない。北朝鮮が追加配備した多連装ロケット砲300門だけで、瞬時に1万発前後の砲弾がソウル首都圏など韓国側に撃ち込まれる。先制攻撃しか米韓側に防ぐ手立てがないのが現実だ。

 

 北朝鮮は、猛毒のサリンやVXなどの化学兵器を推定2500~5千トン貯蔵している上、生物兵器用の炭疽(たんそ)菌なども保有。韓国軍当局者は、弾頭の相当数が化学兵器仕様だとみており、ソウルに560キロのVXを積んだ弾頭1発が撃ち込まれれば最大12万人が犠牲になるとの分析もある。

 北朝鮮は9月の核実験の際、高高度で核爆発させ、敵の防衛網をまひさせる電磁パルス(EMP)攻撃も可能だと主張した。東京やソウルの数十キロ上空で核を爆発させれば、電気を使った全インフラや通信網が即停止し、都市機能を喪失する。(ソウル 桜井紀雄)