対北制裁決議 石油禁輸の必要性消えぬ

2017/09/13 05:03

 国連安全保障理事会の対北朝鮮追加制裁は、米国が主導した石油の全面禁輸が取り下げられ、原案から大幅に後退した修正案が採択された。

 金正恩朝鮮労働党委員長の資産凍結・渡航禁止措置も、検討されながら盛り込まれなかった。

 無謀な核・ミサイルの挑発をやめさせるため、金正恩政権にどれだけ直接的な打撃を与えられるかが問われていた。その意味で、迫力不足の印象は否めない。

 採択への過程で改めて明白になったのは、中国とロシアが強力な制裁に反対し、北朝鮮にさらなる時間を与えたことである。その状況を踏まえながらも、日米韓3カ国は引き続き、制裁強化への取り組みを止めてはなるまい。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けた、8月上旬の追加制裁から1カ月の間隔で、新たな制裁が決まった。国際社会が、北朝鮮の挑発を許さない姿勢を示したのは確かといえる。

 安保理決議案は通常、常任理事国の「米中」や「米中露」による水面下の交渉で大筋合意した上で、全理事国に提示される。米原案は6回目の核実験から3日後に示され、1週間足らずで採決された。異例の迅速さである。

 今回、米国は先に原案を全体に示した。交渉の透明性を高め、中国、ロシアの北朝鮮擁護姿勢を際立たせる効果があった。

 十分ではないものの、決まった追加制裁の厳格な実施が重要である。安保理決議は初めて「石油」に言及した。原油は上限設定し、重油などの供給削減を図るが、北朝鮮の軍と経済を動かす石油をどこまで絞れるのか、その効果をよく見極めていくことが大事だ。

 

 北朝鮮がさらなる核・ミサイルの挑発に出たような場合、安保理は直ちに全面禁輸への転換を探るべきだろう。

 金正恩政権に対し、もはや猶予はないと覚悟させる必要がある。中露両国は、そうした現状を北朝鮮に通告する責任がある。

 メキシコが北朝鮮大使を追放し、フィリピンが貿易を停止するなど、北朝鮮の無法を許さない動きが国際社会に生じていることに注目したい。

 圧力強化の先頭に立つべき日本自身は、目に見える具体的な措置を取っているといえるか。「異次元の圧力」など、言葉が上滑りする傾向を危惧する。