拉致実行犯の北工作員ら、自衛隊や在日米軍情報を収集

2016/01/28 14:08

 日本に潜入し、非合法活動を行う北朝鮮工作員の主な任務は、日本国内の自衛隊や在日米軍施設の情報を集め、北朝鮮本国に送ることだった。同様の任務を行っていた工作員の中には、日本人を拉致した実行犯も含まれており、自衛隊や在日米軍施設周辺で消息を絶った特定失踪者に工作員が接触していた可能性も考えられる。

 「新宿の書店に行ったとき、自衛隊の飛行機や武器に関する本を買ってきてほしいといわれ、買ったことがあります」

 昭和53年7月に地村保志さん(60)、富貴恵さん(60)夫妻を北朝鮮に連れ去り、55年6月に原敕晁(ただあき)さん(79)=拉致当時(43)=を拉致したとして国際手配されている北朝鮮工作員、辛光洙(シングァンス)容疑者(86)と日本で約2年にわたり同居していた在日朝鮮人の女性はかつて、産経新聞の取材に対してそう話していた。

 警察当局が過去に摘発した北朝鮮工作員の事件では、工作員らが日本で自衛隊や在日米軍の情報を集め、北朝鮮本国に報告していたことが判明している。

 辛容疑者のほかにも、日本人拉致事件で国際手配されている北朝鮮工作員も日本で自衛隊などの情報を探っていた。チェ・スンチョル容疑者。53年7月に蓮池薫さん(58)、祐木子さん(59)を拉致したとして国際手配されている北朝鮮工作員だ。蓮池さん夫妻拉致事件だけでなく、ほかの日本人になりすまし、日本の防衛力や在日米軍基地についての情報を集めていた。

 

 政府が認定する拉致被害者で、自衛隊や在日米軍施設とのかかわりは今のところ見つかっていない。だが、121人に上る特定失踪者が自衛隊や在日米軍の施設周辺で消息を絶ったり、住んでいたりしたことは、北朝鮮工作員との接点があった可能性を示している。特定失踪者問題調査会は今後、さらに調査を進めたいとしている。